キラル分子では、不斉炭素をもつ分子が鏡像関係のエナンチオマーとして存在することがあります。
しかし、不斉炭素を含むにもかかわらず、光学活性を示さない分子も存在します。
このような分子をメソ体と呼びます。
メソ体は、複数の不斉炭素をもつにもかかわらず、分子全体としてはキラルではありません。
この現象は、分子の内部に存在する対称性によって説明されます。
ここでは、メソ体の特徴と、その立体化学的な意味について整理します。
メソ体とは何か
メソ体とは、二つ以上の不斉炭素をもつにもかかわらず、分子全体としてはキラルではない化合物のことです。
このような分子では、分子内に対称面が存在します。
そのため、分子の片側の構造がもう一方の側の鏡像になっています。
この内部対称性のため、分子は鏡像と完全に重ね合わせることができます。
その結果、メソ体は光学活性を示しません。
内部対称面
メソ体の重要な特徴は、分子内に対称面が存在することです。
対称面とは、分子を二つの部分に分けたとき、両側が互いに鏡像関係になる面のことです。
この対称面が存在すると、分子は鏡像と重ね合わせることが可能になります。
そのため、不斉炭素が存在していても分子全体としてはキラルになりません。
メソ体とエナンチオマーの違い
二つの不斉炭素をもつ分子では、複数の立体異性体が存在することがあります。
例えば、二つの不斉炭素をもつ分子では、通常三種類の異性体が存在します。
そのうち二つは互いに鏡像関係にあるエナンチオマーです。
残りの一つがメソ体になります。
メソ体は内部対称性をもつため、光学活性を示しません。
メソ体の例
メソ体の典型的な例として、酒石酸が挙げられます。
酒石酸には二つの不斉炭素が存在しますが、その立体配置によって三種類の異性体が存在します。
二つはエナンチオマーの関係にあり、もう一つがメソ体です。
メソ体では、分子の中央に対称面が存在し、左右の構造が互いに鏡像になっています。
そのため、光学活性を示しません。
メソ体の立体化学的意味
メソ体の存在は、立体異性体の数を考える際にも重要です。
一般に、不斉炭素が n 個ある場合、最大で 2ⁿ 個の立体異性体が存在します。
しかし、分子内に対称性が存在する場合には、この数より少なくなることがあります。
メソ体は、このような対称性によって生じる特殊な立体異性体です。
練習問題
解答:二つ以上の不斉炭素をもつにもかかわらず、内部対称性のため光学活性を示さない分子です。
解答:分子内に対称面が存在し、分子が鏡像と重ね合わせることができるためです。
解答:通常は三種類で、二つのエナンチオマーと一つのメソ体が存在します。
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