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チオウレア官能基の構造・性質・合成・反応・医薬・材料応用まで徹底解説

チオウレア(thiourea)は、ウレア(–NH–(C=O)–NH–)のカルボニル酸素が硫黄原子(S)に置換された構造を持つ官能基です。
ウレアと同様に2つのアミノ基と中心のC=S基から構成され、水素結合能に加えて硫黄原子特有の柔軟な電子性が加わることで、触媒・医薬・金属錯体形成・結晶工学などに広く応用されています。

本記事では、チオウレアの構造と特徴、合成法、主な反応、ウレアとの違い、さらには医薬品や高分子・有機触媒への応用について有機化学の視点から解説します。

チオウレアの構造と電子的特徴

基本構造

R₁–NH–(C=S)–NH–R₂

共鳴構造

R–NH–C=S–NH–R' ↔ R–NH–C⁻–S⁺–NH–R'

ウレアとの違い

チオウレアの命名と代表例

命名法

代表例

チオウレアの合成法

① イソチオシアネート法

R–NH₂ + R’–N=C=S → R–NH–C(=S)–NH–R’

② チオカルボニル化

③ チオシアン酸塩経由

チオウレアの主な反応

① 脱アミノ化・環化

② 脱硫反応

チオウレア + 酸化剤 → ウレア + S または SO₄²⁻

③ 金属錯体形成

④ アルキル化・アシル化

チオウレアの物理的性質と水素結合能

チオウレアの応用分野

① 医薬品

② 有機触媒

③ 分子認識・アニオン受容体

④ 材料化学

チオウレアの安全性と取り扱い

まとめ:チオウレアは電子・構造・機能のバランスに優れた多機能官能基

次回は「ホスホン酸(–PO(OH)₂)」をテーマに、リンを含む官能基の構造、酸性、キレート形成、医薬応用などを解説していきます。

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