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アミン官能基の構造・分類・塩基性・反応・合成・応用まで徹底解説

アミン(amine)は、有機分子中に窒素原子(N)を含み、水素または炭素鎖と結合した構造を持つ有機塩基です。
アンモニア(NH₃)を基準とし、1〜3つの水素原子が有機基(アルキルまたはアリール)に置換されたものとして理解できます。

アミンは生命現象や有機合成において極めて重要な官能基であり、アミノ酸、神経伝達物質、医薬品、ポリマーなど幅広い分野で利用されます。

アミンの構造と分類

基本構造

R₁–NH₂ (一級アミン)  
R₁–NHR₂ (二級アミン)  
R₁–NR₂R₃ (三級アミン)

分類

芳香族アミン

窒素原子が芳香環に直接結合しているアミン。例:アニリン(C₆H₅NH₂)

アミンの命名法

IUPAC命名法

慣用名

アミンの物理的性質

アミンの塩基性と比較

塩基性の由来

窒素原子上の孤立電子対がプロトン(H⁺)を受け取りやすいため、アミンはルイス塩基・ブレンステッド塩基として機能します。

pKaと塩基性の傾向

アミンの主な反応

① アルキル化反応

R–NH₂ + R'–X → R–NHR' → R–NR'R''(多段階で三級アミンまで)

SN2反応により進行。制御が難しい場合は混合物になる。

② アシル化反応

R–NH₂ + R'–COCl → R–NHCO–R' + HCl

アミド結合生成。塩基(ピリジン)を加えて中和。

③ ジアゾ化反応(芳香族アミン)

Ar–NH₂ + NaNO₂ + HCl → Ar–N₂⁺Cl⁻(ジアゾニウム塩)

アゾ染料や置換反応の中間体として重要。

④ ニトロ化合物の還元

Ar–NO₂ + [H] → Ar–NH₂

鉄/HCl、Sn/HCl、LiAlH₄ などで還元。

⑤ アミンの酸塩基反応

R–NH₂ + HCl → R–NH₃⁺Cl⁻

中性溶液にすると水に溶けにくいアミンを塩として可溶化。

アミンの主な合成法

① ハロゲン化物 + アンモニア

R–X + NH₃ → R–NH₂ + HX

② 還元法

③ グリニャール試薬の反応によるアミン合成

α-ブロモカルボニル化合物などを経由して段階的に導入

アミンの応用分野

① 医薬品

② 農薬・色素

③ ポリマー合成

④ 錯体・配位化学

アミンの安全性と取扱い

まとめ:アミンは反応性・生理活性・構造設計に優れた万能官能基

次回は「イミン(–C=NR)」をテーマに、構造・形成・安定性・反応性・生体応用(ビタミンB6、補酵素)などを解説します。

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