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【第2章】原子構造と周期表の基本

前章では、有機化学が炭素を中心とする化学であることを学びました。今回はその土台となる「原子」の構造について詳しく見ていきます。

「電子配置」「軌道」「原子番号と質量数」など、化学の基礎でありながらつまずきやすいテーマを、図解と身近な例を使って解説します。これらは有機化学の反応理解に不可欠な知識です。

🔬 原子の構造とは?

原子は、原子核(陽子と中性子)と、電子からできています。

たとえば、炭素(C)は原子番号6、陽子6個、中性子6個(^12Cの場合)、電子6個から成ります。

🧮 原子番号と質量数の違い

2つの数字の違いを明確に押さえましょう。

用語 意味 炭素(C)の例
原子番号(Z) 陽子の数(=電子の数) 6
質量数(A) 陽子 + 中性子の合計 12(^12C)
中性子数 質量数 − 原子番号 6

同じ元素でも中性子の数が異なる場合、それは同位体と呼ばれます(例:12C, 13C)。

🌌 電子はどこに存在するのか? ―「軌道」の考え方

電子は核のまわりを「ぐるぐる回る」と思いがちですが、正確には「軌道(orbital)」という電子の存在確率分布に存在します。

軌道には種類があり、主に以下の4つが有機化学では重要です。

最も内側の軌道(1s)から順に電子が配置されていきます。この仕組みは次の「電子配置」で詳しく見ていきます。

⚛️ 電子配置のルール

電子がどの軌道にどのように入るかには、3つの原則があります。

① アウフバウ原理(Aufbau Principle)

エネルギーの低い軌道から順に電子が配置される。

② パウリの排他原理(Pauli Exclusion Principle)

1つの軌道にはスピンの異なる2つの電子しか入れない。

③ フントの規則(Hund’s Rule)

同じエネルギーの軌道(例:3つのp軌道)には、1つずつ電子を入れてから対にする。

▶ 具体例:電子配置の例

元素 電子数 電子配置
水素(H) 1 1s¹
炭素(C) 6 1s² 2s² 2p²
リン(P) 15 1s² 2s² 2p⁶ 3s² 3p³

電子配置を理解すると、「どの原子がどんな反応をしやすいか」「どこに結合が起こるか」が見えてきます。これは有機反応の理解に直結します。

📘 周期表と電子配置の関係

周期表は、実は電子配置に沿って美しく並んでいます。

たとえば、第17族(ハロゲン)は7つの価電子を持ち、1つ電子を得て安定な閉殻構造を作る性質を持ちます。

有機化学では、第1・2周期の元素(C, H, N, O, Fなど)を中心に考えますが、周期表全体の構造を理解しておくと、応用化学や反応性の理解がぐっと深まります。

🧠 まとめ:有機化学の理解はここから始まる

次章では、結合の種類と極性(イオン結合・共有結合・極性共有結合)について解説していきます。電子配置が理解できた今、どのように原子同士が結びつくのかを考える準備が整いました。

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