分子を表す際によく用いられるLewis構造とKekulé構造について解説する。
化学結合論の発展
1800年代半ばになると、分子がその形を保つための力についての研究が盛んになった。
1858年、August KekuléとArchibald Couperは独立に、有機化合物中の炭素の原子価は4つであり、他の元素と4本の結合を作ると安定な化合物となることを提唱した。
その後、Kekuléは炭素が互いに結合して長い鎖状化合物になりうることや、炭素鎖が自身で折り返して環状化合物を形成することを発表し、化学結合論を発展させた。
また、1874年になると、Jacobus van’t HohhとJoseph Le Belは、炭素の結合が空間的に特別な方向をもっていると提唱した。その後、van’t Hohhは炭素に結合する4つの原子は四面体の各頂点に位置し、炭素はその中心に存在すると付け加えた。
オクテット則
原子の最外殻、すなわち原子価殻に8個の電子をもつと、貴ガス元素のように安定になることが知られている。これをオクテット則という。
1族のアルカリ金属は、原子価殻から1個のs電子を失ってカチオン(陽イオン)となることで、オクテット則を満たす。17族のハロゲンは、原子価殻に1個の電子を受け取ってアニオン(陰イオン)となることで、オクテット則を満たす。
炭素のように周期表の中央部に位置する元素は、イオンとなってオクテット則を満たすために大量のエネルギーを要する。そのため、他の原子と電子を共有して結合を作ることによって安定化する。このように電子を共有してできた結合は、G. N. Lewisによって共有結合と呼ばれた。また、共有結合によって結び付けられた中性の原子の集合体は分子と名付けられた。
Lewis構造とKekulé構造
分子中の共有結合は、以下の方法で表されることが多い。
Lewis構造
Lewis構造は、原子の価電子を点で表す。点電子構造とも呼ばれる。
水素は1個の点、炭素は4個の点、酸素は6個の点を有する。分子中のすべての原子の周りに8個の点があるとき、それはオクテット則を満たしており、安定であることがわかる。
Kekulé構造
Kekulé構造は、2電子の共有結合を1本の線で表す。線結合構造とも呼ばれる。
今後、有機化学を学ぶ上ではこのKekulé構造をよく見ることになるだろう。
孤立電子対
結合に使われない対をなしている価電子は、孤立電子対あるいは非共有電子対と呼ばれる。授業などでは、英語を用いてlone pairと言われることも多い。
有機化学の反応を考える上では、孤立電子対の働きが非常に重要となる。特に、酸素と窒素は頻出である。
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