物質の分類を試験で問われることは少ない。
ただし、この分類を理解できていなければ、化学を学ぶにおいて基礎が不十分すぎる。
紛らわしい表現も登場するが、それぞれの意味を明確に理解してほしい。
物質の分類
すべての物質は、上図のように分類される。
それぞれについて確認していこう。
純物質
純物質とは、「単一の成分からなる物質」である。
単一の成分のみであるため、融点や沸点は一定の値を示す。
純物質は、さらに単体と化合物に分けられる。
単体
単体とは、「単一の元素からなる純物質」である。
空気中に存在する気体や金属に多い。
窒素N2, 銅Cu
化合物
化合物とは、「複数の元素からなる純物質」である。
化学において、最も登場頻度が多い。
水H2O, 二酸化炭素CO2
混合物
混合物とは、「複数の成分からなる物質」である。
混合物は、混合割合によって、融点や沸点の値が変化する。純物質は融点や沸点が一定の値を示すことを考えると、これらを測定すれば純物質か混合物かを判定できることがわかる。
混合物で分かりやすいのは、水溶液である。水溶液は、水と溶質の混合物である。その他、溶液はすべて混合物に分類される。
塩酸(水と塩化水素), 空気(窒素や酸素など)
元素と単体の違い
元素とは、「物質を構成する原子の種類」である。
元素を表現する際は元素の名称を用いる。ただし、これは単体の表現と同じである。
したがって、文脈から”元素”か”単体”かを判別する必要がある。
以下に例を示すので、判別に挑戦してみてほしい。
- 水分子は水素と酸素で構成される。
- 水を電気分解すると、水素と酸素が発生する。
- カルシウムは人体に必要な栄養素である。
では、解答を見てみよう。
- 水素, 酸素→元素
- 水素, 酸素→単体
- カルシウム→元素
正解できたであろうか。
初めは判別が難しいかもしれないが、多くの例を見れば確実にわかるようになる。
一般的な問題集には必ずこのような問題が掲載されているので、たくさん挑戦してほしい。
同素体
同素体とは
同素体とは、「同じ元素からなる単体で、互いに性質が異なるもの」である。
代表的な同素体を以下に示す。
硫黄 S | 斜方硫黄S8, 単斜硫黄S8, ゴム状硫黄Sx |
---|---|
炭素 C | 黒鉛C, ダイヤモンドC, フラーレンC60 |
酸素 O | 酸素O2, オゾンO3 |
リン P | 黄リンP4, 赤リンPx |