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【元素図鑑】ビスマス Bi【結晶がめちゃくちゃ綺麗】

ビスマス(Bismuth、元素記号:Bi)は、周期表の第15族に属する元素で、原子番号83です。ビスマスは重金属の一つで、さまざまな用途と興味深い物理的・化学的特性を持っています。以下にビスマスの基本特性、歴史、用途、化学的特性、生物学的役割、安全性について説明します。

概要

ビスマス(Bismuth)は、原子番号83の元素であり、化学記号はBiです。ビスマスは主に鉛と同じ鉱石中に存在し、鉱石からの精製によって得られます。自然界においては、ビスマスは鉱石や鉱物中に硫化物や酸化物の形で見られます。

ビスマスは、鉛と同じく低融点を持つため、低融点合金やスズとの合金(ビスマス青銅)などの合金に広く使用されます。低融点合金は、はんだ付けやベアリングなどの用途に適しています。また、ビスマス化合物は医薬品や化粧品、磁石の材料、火薬の成分、放射線吸収材などにも使用されます。

ビスマスはまた、その放射能の特性から放射線シールドとしても使用されます。ビスマスは非常に密度が高いため、放射線を効果的に遮蔽することができます。また、ビスマスは比較的安全な放射線吸収材として医療機器や核施設で使用されます。

ビスマスは、人体に対しては低毒性であり、通常の使用法では健康に有害な影響を与えることはありません。しかし、過剰摂取や長期間にわたる曝露は健康に有害な影響を引き起こす可能性があります。特に、一部のビスマス化合物は腎臓や肝臓に悪影響を及ぼすことが知られています。したがって、ビスマスを取り扱う際には適切な安全対策が必要です。

ビスマスは多様な産業で使用される重要な元素であり、その特性や用途の多様性から、科学や工業分野で広く利用されています。

基本情報

和名 ビスマス
英名 Bismuth
語源 アラビア語「安息香のように溶ける金属(wissmaja)」
元素記号 Bi
原子番号 83
原子量 209.0
常温(25℃での状態) 固体(金属)
銀白色
密度 9.747 g/cm3(20℃)
融点 271.3℃
沸点 1560℃
発見者 ジェフロア(フランス)[1753年]
含有鉱物 自然蒼鉛

歴史

発見

ビスマスは古代から知られていましたが、長い間鉛やスズと混同されていました。

18世紀に至り、ビスマスが独立した元素であることが確認されました。

名前の由来

更新をお待ちください。

主な用途

医療

ビスマス化合物は消化器系の薬(例えば、ビスマスサブサリチル酸塩、商品名:ペプトビスモル)として使用され、消化不良や下痢の治療に役立ちます。

工業

ビスマスは鉛の代替として使用されることが増えています。特に環境に優しい鉛フリーはんだの成分として利用されます。

合金に添加することで、合金の融点を低くし、特定の工業的用途に適しています(例えば、低融点合金や安全ヒューズ)。

化粧品

ビスマスオキシクロライド(BiOCl)はパール感を出すために化粧品に使用されます。

生成方法

更新をお待ちください。

化合物

酸化ビスマス(III) (Bi2O3)

酸化ビスマス(Bismuth Oxide)は、ビスマスと酸素からなる化合物であり、化学式はBi2O3です。酸化ビスマスは、酸化ビスマス(III)(bismuth(III) oxide)または三酸化ビスマス(trismuth trioxide)としても知られています。

酸化ビスマスは、白色の粉末状の固体であり、水にはほとんど溶けませんが、酸や塩基に溶けてビスマス塩を生成します。高温では赤色の形態に変化することがあります。

酸化ビスマスは、さまざまな産業で広く使用されています。その主な用途には以下のものがあります。

顔料としての利用

酸化ビスマスは、塗料や顔料として使用され、特にセラミックや陶磁器の着色に広く用いられます。酸化ビスマスは、その白色や黄色の色調が評価され、特定の色合いを実現するために添加されます。

電子材料としての利用

酸化ビスマスは、電子材料の製造にも使用されます。例えば、バリスターと呼ばれる電気抵抗体やセラミックコンデンサーなどの電子部品の製造において、酸化ビスマスが重要な成分として利用されます。

光学材料としての利用

酸化ビスマスは、光学レンズや光学ガラスの材料としても使用されます。その光学的特性や耐久性が評価され、特定の用途に適しています。

医薬品としての利用

酸化ビスマスは、医薬品や化粧品の製造にも使用されます。特定の医薬品や化粧品に添加され、その色調や性質を調整するために利用されます。

酸化ビスマスは、その白色の外観や特性の安定性から、多くの産業で重要な役割を果たしています。その豊富な用途と性質の安定性から、酸化ビスマスは工業的に重要な化合物の一つとして位置づけられています。

次没食子酸ビスマス (C7H5BiO6) – 整腸剤(日本薬局方収載)

次没食子酸ビスマス(Bismuth subsalicylate)は、一般的にはピンク色の粉末または液体として市販されており、主に消化器系の問題や胃腸の不快感を和らげるために使用される医薬品成分です。以下に、次没食子酸ビスマスの特徴や用途について説明します。

消化器系の問題の緩和

次没食子酸ビスマスは、下痢や胃もたれ、胃酸逆流などの消化器系の問題を緩和するために使用されます。その抗酸化作用により、胃酸を中和し、胃腸の粘膜を保護する効果があります。

抗菌作用

次没食子酸ビスマスは、一部の微生物に対して抗菌作用を示すとされています。これにより、胃腸炎や旅行者下痢などの感染性の下痢の緩和にも使用されます。

胃腸保護作用

次没食子酸ビスマスは、胃腸の粘膜を保護する作用があります。これにより、胃酸や胃腸の刺激から粘膜を守り、胃腸の炎症を軽減します。

吸着作用

次没食子酸ビスマスは、消化管内の有害物質や毒素を吸着し、排泄する作用があります。これにより、食中毒や薬物中毒の症状の軽減にも役立ちます。

次没食子酸ビスマスは、一般的に市販の胃腸薬や下痢止めの成分として使用されており、一般消費者が容易に入手できます。ただし、適切な用量や使用方法を守ることが重要です。また、医師の指示に従い、特に妊娠中や乳児に対しては使用を慎重に行う必要があります。

輝蒼鉛鉱 (Bi3S3)

輝蒼鉛鉱(Galena)は、鉛の硫化鉱物であり、化学的には鉛(II)硫化物(PbS)です。輝蒼鉛鉱は、しばしば鉛鉱石として採掘され、鉛の主要な鉱石の一つです。以下に、輝蒼鉛鉱の特徴とその利用について説明します。

外観と特徴

輝蒼鉛鉱は、外観が銀白色から鉄黒色まで変化することがあります。典型的な結晶構造は立方晶系であり、硫化物鉱物の中でも比較的一般的なものです。輝蒼鉛鉱は、金属光沢を放ち、しばしば六角形の結晶や塊状の形態で見られます。

産地と採掘

輝蒼鉛鉱は、世界中で広く分布しており、主な鉱床はオーストラリア、中国、ロシア、ペルー、メキシコ、アメリカなどに存在します。採掘された輝蒼鉛鉱は、鉛の生産に使用されますが、時には銀や亜鉛などの他の金属も同時に回収されることがあります。

用途

輝蒼鉛鉱は、鉛の主要な鉱石として利用されます。鉛は、自動車のバッテリー、建築材料、鉱山装備、電線、船舶、弾薬などの様々な用途に広く使用されています。また、輝蒼鉛鉱は時には銀や亜鉛などの副産物を含むことがあり、これらの金属も産業用途で利用されます。

健康への影響

輝蒼鉛鉱が粉砕されたり研磨されたりする際に発生する微小な粉塵は、鉛中毒のリスクを引き起こす可能性があります。鉛中毒は、神経障害、腎臓障害、血液障害などの健康問題を引き起こす可能性があります。そのため、鉱山作業や輝蒼鉛鉱の加工に従事する人々は、適切な安全対策を取る必要があります。

輝蒼鉛鉱は、鉛の重要な鉱石の一つであり、世界中で鉛の生産に利用されています。その一方で、鉛中毒のリスクなどの健康上の問題も考慮しなければなりません。

塩化酸化ビスマス (BiOCl) – 化粧品、パール塗料の原料

塩化酸化ビスマス(Bismuth oxychloride)は、化学式がBiOClで表される無機化合物であり、ビスマス、酸素、塩素からなります。以下に、塩化酸化ビスマスの特性と用途について説明します。

外観と特性

塩化酸化ビスマスは、光沢のある白色の粉末状物質です。化合物の結晶構造は複雑であり、光学的性質により特徴づけられます。光を反射し、パールのような光沢を持ち、化粧品や塗料などの製品において利用される際に、光を反射して肌をより明るく見せる効果があります。

化粧品や美容製品への利用

塩化酸化ビスマスは、主に化粧品や美容製品、特にファンデーションやルースパウダーなどの化粧品に添加されます。その光沢と滑らかさにより、肌に溶け込んで滑らかな仕上がりを与え、肌の色調を均一にするために使用されます。また、光を反射する特性により、肌を明るく見せる効果が期待されます。

塗料への利用

塩化酸化ビスマスは、特殊な塗料やインクの製造においても使用されます。その光学的性質により、塗料の光沢を向上させ、装飾的な効果をもたらします。

医薬品への利用

塩化酸化ビスマスは、一部の医薬品や外科手術の材料としても使用されます。特に皮膚疾患や消化器系の問題の治療において、軟膏や粉末の形で使用されることがあります。

塩化酸化ビスマスは、その光学的性質と化粧品への利用が広く知られています。美容製品や塗料、医薬品など、さまざまな産業で使用され、製品に特定の特性や効果をもたらします。ただし、一部の人々にとっては肌への刺激やアレルギーの原因となる場合があるため、適切な使用法と注意が必要です。

次硝酸ビスマス (Bi5O(OH)9(NO3)4) – 整腸剤(日本薬局方収載)

次硝酸ビスマス(Bismuth Nitrate)は、ビスマスと硝酸からなる無機化合物であり、化学式はBi(NO3)3です。次硝酸ビスマスは、通常は水和物の形で存在し、一般的に無色または白色の結晶性固体です。以下に、次硝酸ビスマスの特性と用途について説明します。

特性

用途

次硝酸ビスマスは、その強力な酸化作用や毒性を利用して、さまざまな産業で幅広く使用されています。ただし、その毒性や刺激性に対する注意が必要であり、取り扱い時には安全対策が適切に行われる必要があります。

次サリチル酸ビスマス – 整腸剤

次サリチル酸ビスマス(Bismuth Subsalicylate)は、ビスマスとサリチル酸の塩であり、化学式はC7H5BiO4です。一般には、ピンク色または白色の結晶性粉末として存在します。次サリチル酸ビスマスは、医薬品として広く使用されており、特に胃腸の問題や下痢の症状の緩和に用いられます。以下に、次サリチル酸ビスマスの特性と用途について詳しく説明します。

特性

用途

次サリチル酸ビスマスは、その胃腸への保護作用や下痢の症状の緩和効果が評価され、医薬品や美容製品に幅広く使用されています。ただし、医師の指示に従い、適切な用量と使用方法を守ることが重要です。また、副作用やアレルギー反応の可能性があるため、使用前には医師に相談することをお勧めします。

炭酸酸化ビスマス(III) – 整腸剤

炭酸酸化ビスマス(Bismuth Carbonate)は、ビスマスと炭酸からなる無機化合物であり、化学式はBi2(CO3)3です。一般には、無色または白色の粉末状物質として存在します。以下に、炭酸酸化ビスマスの特性と用途について説明します。

特性

用途

炭酸酸化ビスマスは、その白色の外観や化学的安定性から、医薬品や化粧品、工業製品の製造に幅広く使用されています。ただし、ビスマス化合物の中でも比較的安定性が低いため、取り扱いには注意が必要です。特に粉末状の形態での取り扱いや吸入を避けることが重要です。

チタン酸ビスマスナトリウム ((Bi1/2Na1/2)TiO3)

チタン酸ビスマスナトリウム(Sodium bismuth titanate)は、ビスマス、チタン、ナトリウムからなる無機化合物であり、化学式はNa0.5Bi0.5TiO3です。これは、ビスマスとチタンの酸化物を主成分とし、ナトリウムが部分的に置換したフェロ電性セラミックスです。以下に、チタン酸ビスマスナトリウムの特性と用途について説明します。

特性

用途

チタン酸ビスマスナトリウムは、その優れたフェロ電性と誘電特性により、圧電素子やセンサー、エネルギーハーベスターなどの様々な電子デバイスの製造に広く使用されています。その高温での安定性や優れた電気特性から、工業的な応用が期待されています。

主な特徴

筆者の薦める1冊

第1位

元素に関する問題がレベル別に多く掲載されており、一般的な知識からニッチな知識まで幅広く学べます。また、最後には全元素のデータが載っており、わからないことがあればすぐに調べることができます。

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第2位

この本の一番の魅力は、とても美しい画像とともに学べるということです。

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2位の元素図鑑に加え、石の図鑑もセットになっています。

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