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【高分子の化学的性質】耐薬品性を理解する【プラスチックシリーズ】

高分子は様々な場面で用いられます。

そのため、色々な薬品と接触する機会があります。

ですから、それに耐える能力は大切です。

高分子と薬品の相互作用

この相互作用には、大きく分けて2段階があります。

第一段階は、高分子と薬品が混合する段階です。

これは、「溶解」のプロセスと似ています。

薬品が高分子に接触し、膨潤して、最終的に溶解します。

詳しくは、こちらの記事で説明しています。

第二段階は、高分子と薬品が化学反応する段階です。

エステル結合やアミド結合をもつ高分子は、適当な触媒があると、加水分解されます。

耐薬品性を高める方法として、架橋構造をつくることや芳香族構造をつくることが挙げられます。

これにより、分子間力を高めることができます。

これは、第一段階を防ぐ働きがあります。

高分子の種類と耐薬品性

高分子の種類とその耐薬品性を下表にまとめました。

ポリカーボネート 耐薬品性は低い。
ナイロン66 有機溶媒には強い。高濃度の酸・アルカリには弱い。
PET 有機溶媒には強い。高濃度の酸・アルカリには弱い。
PS 有機溶媒には弱い。酸・アルカリには強い。
PP 有機溶媒には弱い。酸・アルカリには強い。
PTFE どのような薬品にも強い。すなわち、耐薬品性が高い。

バリア特性

プラスチックは、食品の包装などにもよく使われます。

そのとき、匂いが外に漏れてきたら困りますよね。

このときに重要なのが、ガスバリア特性です。

これは、高分子素材がどれだけ気体を通すのかの指標です。

ガスバリア特性が低ければ、外部から空気や水蒸気を取り込み、内容物の劣化を速めますし、内部から匂いを漏らします。

高分子を気体が通過するメカニズムは、溶解や薬品との相互作用と同じです。

水蒸気のような極性の気体分子は、非極性プラスチックを通過しにくいです。

反対に、酸素や二酸化炭素のような非極性の気体分子は、ナイロンやPETのような極性高分子を通過しにくいです。

また、分子間の凝集力が大きい高分子は、気体と通過させづらいです。

最後に

高分子は、様々な場面で使われるからこそ耐薬品性が高い必要があり、耐薬品性が高いからこそ様々な場面で使われるのです。

プラスチックが我々に与える恩恵は、偉大です。