マグネシウム(Magnesium, Mg)は、元素記号Mg、原子番号12の化学元素です。周期表の第3周期、第2族(アルカリ土類金属)に属する軽くて銀白色の金属です。
マグネシウムの基本情報
和名 | マグネシウム |
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英名 | Mgnesium |
語源 | ギリシャ語「マグネシア地方(Magnesia)」 |
元素記号 | Mg |
原子番号 | 12 |
原子量 | 24.31 |
常温(25℃)での状態 | 固体(金属) |
色 | 銀白色 |
密度 | 1.738 g/cm3 (20℃) |
融点 | 650℃ |
沸点 | 1095℃ |
発見者 | ビュシー(フランス)[1828年] |
含有鉱物 | ドロマイト |
マグネシウムの主な特徴
- アルカリ土類金属元素
- 銀白色の軽くて柔らかい金属
- 構造用金属としては最も軽量であり、航空機、自動車、電子機器などの軽量化素材として利用されている
- 化学的には反応性が高く、酸や水と反応して水素を発生する
- 生体にとって必須のミネラルであり、酵素活性や神経伝達に重要な役割を果たす
マグネシウムの歴史
発見
マグネシウムの化合物は古代から知られており、エプソム塩(硫酸マグネシウム)は17世紀のイングランドで既に利用されていました。
金属単体としては1808年、ハンフリー・デービーが初めてその存在を示唆し、1831年にフランスのアントワーヌ・ブシェによって単離されました。
名前の由来
「マグネシウム(Magnesium)」は、ギリシャの都市マグネシアに由来します。
そこから産出される鉱物(マグネシア=酸化マグネシウム)が語源となり、のちに元素名に用いられるようになりました。
マグネシウムの主な用途
マグネシウムは軽量で加工性に優れ、構造材料・化学工業・医療分野などで広く使用されています:
- 合金材料: アルミニウムとの合金(Mg-Al合金)は航空機、自動車部品、ノートパソコン筐体に使用
- 発火材: 燃焼時に強い白光を放つため、花火、フラッシュ、軍用発煙装置に利用
- 電気化学用途: 犠牲陽極(防食用)やマグネシウム電池に使用
- 医薬・食品: 酸化マグネシウムは制酸剤・便秘薬として、マグネシウム塩はサプリメントに使用
- 建築資材: 軽量コンクリート添加剤、難燃性建材の成分として
軽量構造材料
マグネシウム合金は、軽量で高強度なため、航空機、自動車、電子機器の部品などに使用されます。
冶金工業
鉄鋼の脱酸剤として、またアルミニウム合金の製造において添加剤として使用されます。
化学工業
マグネシウム化合物は、耐火材料や化学薬品の製造に使用されます。例えば、マグネシウム酸化物(MgO)は耐火煉瓦の材料として利用されます。
農業と医療
マグネシウムは植物の成長に必要な栄養素であり、肥料の成分として使用されます。また、医療用にはマグネシウム塩が制酸剤や下剤として利用されます。
燃料と花火
マグネシウムは燃えやすく、強い白色光を放つため、花火や信号炎管の材料として使用されます。
マグネシウムの生成方法
マグネシウムは海水や鉱石から、以下のような方法で工業的に製造されます:
- 電解法: 塩化マグネシウム(MgCl2)を電気分解してマグネシウム金属を得る(主に海水由来)
- 熱還元法: ドロマイト(MgCO3·CaCO3)を加熱して酸化マグネシウムとし、ケイ素などで還元
鉱石
マグネシウムは自然界で広く分布しており、主要な鉱石にはドロマイト
(MgCa(CO₃)₂)、マグネサイト(MgCO₃)、および海水中のマグネシウム塩があります。
精製
電解法
塩化マグネシウム(MgCl₂)を電解して金属マグネシウムを得る方法が一般的です。
熱還元法
マグネシウム酸化物を還元剤とともに高温で加熱してマグネシウムを得る方法もあります。
マグネシウムを含む化合物
マグネシウムは+2価の陽イオンとして多くの安定な化合物を形成します。主なものは以下の通りです:
- 酸化マグネシウム(MgO): 白色粉末。耐火材、医薬品、食品添加物に使用
- 硫酸マグネシウム(MgSO4): 通称エプソム塩。入浴剤や肥料、医薬品として使用
- 塩化マグネシウム(MgCl2): にがりの主成分。豆腐の凝固剤として知られる
- マグネシウム合金: 機械的強度を向上させたMg-Al-Zn系などの構造材料
マグネシウムに関する研究事例
マグネシウムは軽量構造材料や生体材料、電池材料などとして研究が進められています:
- マグネシウム電池: Mgイオンを利用した次世代二次電池の開発(高エネルギー密度・資源の豊富さが利点)
- 生体吸収型インプラント材料: 体内で分解されるマグネシウム合金による医療応用(骨ピンなど)
- 高強度Mg合金: 軽量化と強度・耐食性を両立した航空宇宙用材料の開発
- マグネシウムの生理機能研究: 神経伝達、ATP活性化、筋収縮への影響に関する分子生物学的研究
- CO2吸収材: 酸化マグネシウムを利用した二酸化炭素固定技術の研究
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